「マジで教師とか思えない。可愛い~」

 私の姿を見た女子生徒は、絶賛してくれる。
だが教師に見えないのは、いかがなものだろうか?

 家庭科の女子生徒や手先の器用な子達が頑張って作ってくれたお手製メイド服。
 確かに凄く可愛らしいデザインだ。

 ミニスカなのだが、レースとリボンで、可愛らしくアレンジしてある。
 エプロンも白くてレースなどで飾り付けしてあるし、髪もくるくるに巻かれた。
 鏡で見てみると、どう見ても教師とは程遠い……。
いや。これ教頭先生が見たら説教されそうよ!?

「さすがに無理があるのではないかしら?年からしても……」

「先生。そんなことを言っていたら全国の20代の女性を敵に回すよ?」

「大丈夫だって。可愛いから」

 うっ……それは嫌かも。
女子生徒に驚かされながらも励まされてしまう。
 何とも複雑な光景だろうか……。

 もう一度鏡を見た。これを……鬼龍院さんに見せるのか。
一体どんな反応をするのかしら?
 きっと恥ずかしくて目を合わせてくれないかもしれない。それは、それで照れくさいかも……。

「先生。早くクラスに行こうよ!」

「あ、あぁ……そうね」

 私は、その格好のまま更衣室から出て2年1組のクラスに戻った。
 すでに準備を整えていた男子生徒は、それを見てざわつき始める。

「ちょっ……マジで!?
椎名先生。すげぇ似合うじゃん!!」

「可愛い~椎名先生」

どうやら男子からのウケもいいみたいだ。
 女子生徒の数人は、私ばかり褒めるから男子達に文句を言っていたが……。
 チラッと見ると坂下君と目が合った。
また似合わないと言われると思い覚悟をしていたら、そっぽを向かれてしまった。