「誰が結婚相手が居ないって?
 私は、その気になれば結婚相手ぐらい選び放題なのよ。
今回は、ちょっとヤクザだっただけで……」

 いや、これだとお見合い相手がヤクザだと認めたことになってしまう。
 何とか誤魔化さないと……言いふらされてしまうわ。

「フフッ……椎名先生ったら次のデートの約束とかしたらしいわよ?
 坂下君も大変ねぇ……思わないライバル登場で」

「はぁっ?そんなの……ちげぇーし」

「あら……そう?フフッ……」

 ちょっと勝手に2人で話を進めないでよ!?というか奈緒。
次のデートとか言いふらさないで……。
 あぁ、これだと余計にバレてしまうから……。

「とにかく、お見合いしたってだけよ。
まだその人と結婚するって決まった訳ではないし」

 私は、何とか言い訳をしようとした。
話が大きくなる前に誤魔化さなくちゃあ……。
 バラられたら大変だわ。

「はぁ?そんなの当たり前じゃん。
 教師がヤクザと結婚とか冗談じゃねぇーよ。
そうなったらクビだぜ?クビ」

 うっ……。坂下君に痛いことを言われて胸が詰まった。
それを言われると辛い……。
 分かっているわよ……そんなこと。私だって考えたし。

「あら恋愛は、自由よ?
教師とヤクザなんてロマンチックじゃない」

「そんなのドラマや漫画の話だろ。
 美人な入谷先生なら、まだしも椎名先生じゃあ簡単に見つかってクビじゃん。
 そうなる前に断った方がいいじゃねぇ?」

 おい、ちょっと待て。さっきから言いたい放題じゃん?
あまりの2人の態度に腹が立ってきた。
 見てらっしゃい。上手くやってギャフンと言わしてやるから!!

「私……受けるわ。そのデート」

 悩んでいたはずなのに、負けず嫌いな性格に火がついてしまった。
 こうなると自分自身でも止められない。
 坂下君は、はぁっ?と呆れられたが、なおさら意地になってしまった。見てなさいよ…。

 私は、意気込みながら次のデートに取り付けた。
鬼龍院さんは、連絡をしたら喜んでくれたが……。