うーん。鬼龍院さんが相手だと、どうしても悪くないと思えてしまう。あの笑顔のせいで……。
 するとその時だった。
急に窓から坂下君が顔を出してきた。

「はぁっ?今の話……マジかよ!?」

『坂下君!?』

 私も奈緒も驚いて思わずハモッてしまった。
びっくりした……。あんた……何処から現れるのよ!?
 それよりも、いつも遅刻してくる人が何故、朝早くに保健室のそばに居るの?

「ちょっと……坂下君。今日は、やけに早いじゃない?」

「そんなの早く来て保健室で寝ようと思って……で、
それよりも今の話本当なのかよ?」

 ちょっと待て。何がそれよりもだ?
早く来ても保健室でサボっていたら意味がないでしょーが!!
 私は、そっちの方がツッコミたくなった。
すると奈緒は、クスッと笑う。

「あら、本当よ?上……椎名先生は、最近若いヤクザの親分さんとお見合いしたの。
 しかもイケメンで、なかなかの実業家」

 ちょっと……奈緒!?
あんた……何ベラベラと坂下君に喋ってんのよ!?
 そんなの生徒に喋ることではないし、もし言いふらされたら……。
 私は、ハラハラしながら坂下君を見てみると……はぁっ?という顔をしてきた。

「はぁっ?何で教師がヤクザなんかとお見合いしないといけないんだよ!?アホじゃないか……お前?」

誰がアホだ!?しかも教師に向かってタメ口で……。

「ちょっと……坂下君。教師に向かってアホとは何ですか?」

「いや。アホだろ……実際。
 いくら結婚相手が居ないからって、よりにもよってヤクザの親分って……正気かよ?」

 さらにアホだとか、結婚相手が居ないとか好き勝手言ってくる坂下君だった。
 ちょっと待ちなさい。あんたは、いつも一言二言多いのよ!?