「……もちろんです……」

 その言葉に正直戸惑ったが私は、そう答えた。
すると鬼龍院さんは、ふわっと嬉しそうに笑う。
 「ん……そうする」と……。

 この瞬間。ここに天使が舞い降りたのかと思った。
羽根が見えそう……。
 恋のキューピッドは、弓どころかライフル銃で心臓を撃ち抜き萌え殺そうとしているのだろうか?

「ねぇ……こっち来て……」

 向かい合わせに座っていた鬼龍院さんは、何故か私を隣に座るように手を伸ばしてきた。えっ……?
 私は、驚いた。しかし吸い寄せられるように隣に座ってしまった。
 胸は、ドキドキと高鳴っている。

 すると鬼龍院さんは、私の肩にもたれかかってきた。
ふわっと鬼龍院さんの黒い髪が頬に触れる。
えっ……えぇっ!?
 驚きと心臓が飛び出しそうになった。
鬼龍院さんは、ハァッ……とため息を吐いた。

「すまない……ちょっと肩を貸して」

 よほど辛いのだろうか?
そう言うと静かに目を閉じてしまった。
 鼓動が高速のようにドキドキと高鳴っていた。
まるでジェットコースターに乗った気分だ。

 すると柔らかい髪とふわっと爽やかな香りがした。
香水だろうか……?
 チラッて鬼龍院さんを覗き込むと小さな吐息が聞こえてきた。
 どうやら眠ってしまったようだった。

えぇっ……寝ちゃったの!?
 驚きつつもさらに覗き込んだ。すると肩がずれて私の太ももに転がってしまった。これだと膝枕だ……。

 ど、どうしよう。退かしてもいいのかしら?
いや。でも……辛そうだし。
 心臓は、ドキドキと高鳴っているのだが顔色の悪い鬼龍院さんを見るとそんな気持ちにはなれなかった。
 目にかかった前髪に触れてみた。
サラッと柔らかい黒髪は、垂れるとモゾッと鬼龍院さんが反応する。

「……んっ……」

 ドキッとするが、またスヤスヤと眠ってしまった。
気持ち良さそうに寝息をたてる鬼龍院さんにさらに胸がキュンとなった。
 その姿は、天使の寝顔のようだった。
あぁ……どうしよう。完全にハマってしまいそうだわ。

 ダメだ、ダメだと思いながらも結局彼を拒むどころか、ハマるなんて自分でも驚いていた。
 私は、ため息混じりに観覧車の窓から見える夕焼けの景色を眺めていた。
 どうしたものか……と思いながら