「あの……大丈夫ですか?」

 どうやらやり過ぎてしまったらしい。
観覧車で鬼龍院さんは、ぐったりしていた。
 顔は、真っ青で虫の息になっていた。
さすがに気の毒な状態だった……。

「いや……大丈夫。ちょっと休憩すれば……平気だから」

無理に身体を起こしながら言うが、ブルブルと震えていますよ……?

「いや。どう見ても無理してますよ?
 すみません。私が強引に誘ったばかりに。
この辺で切り上げましょう」

「そ、それはダメだ。まだディナーがある!!
せっかく夜景の綺麗なレストランを予約したのに」

 私は、心配そうにそう言うと驚いた鬼龍院さんは、慌てただした。
えっ……?夜景の綺麗なレストラン?
 胸がドキッと高鳴った。お店まで予約してくれていたんだ。私のために……。

「ですが……顔色も悪いですし」

「絶対にダメだ。夜景なレストランでディナーすれば女性が喜ぶと部下も言っていた。
 上紗さんに……喜んでほしくて……僕は……」

 無理するから、なおさら顔色が悪くなっていた。
あぁ……これ以上は無理だわ。
 綺麗なレストランでディナーとか素敵だし憧れる。
しかし、この状態の鬼龍院さんを無理させる訳にはいかない。

「ダメですよ……そんな真っ青な顔して無理に食べたら吐いちゃうわ。今度にしましょう、ねぇ?
 また一緒に行ったらいいではないですか」

 私は、説得するように優しく微笑んだ。
すると黙り込む鬼龍院さん。
 辛そうにしながらも私を見る。その目は、うるうるとしていた。

「……また一緒に行ってくれる?」