こんなイケメンな人が私を気に入ってくれたと言うの?
何故……?不思議で仕方がない。
 いや。嬉しいことだけど……。

「なぁ?かなりのイケメンだろ?
年も26で上紗と2つしか違わない。
 お前がいいと言えば、すぐにでもセッティングする。頼む……上紗」

うーん。話は悪くないわね。
 こんな素敵な男性とお見合いが出来るなら申し分ないことだ。顔も好みだし……。

「なら会ってみるだけなら……」

 その考えが甘かったのは、お見合いの当日に知ることになった。
 当日。張り切ってお見合いがある高級ホテルに向かった。

 最上階にあるレストランに着くと遠くから座っている彼が見えた。写真通りのイケメンだ。
 しかし間違いなく本人なのだが、周りに連れている人達に驚かされた。

 えっ……えぇ誰!?あの人達は……?
サングラスや顔に傷痕かある強面の人達。
 しかも黒いスーツ。ボディーガード?
いや。どう考えてもヤクザみたいな人達だ……。
 顔に変な傷もあるし……。

「ちょっとお父様!?これってどういうことよ?
何であんな怖い人達に囲まれてるの!?」

 私は、慌ててお父様の襟を掴んで訴えた。
確か話では、起業家だと言ってなかった?
 するとお父様は、目線を逸らしてきた。

「いや……その。悪い人達じゃないんだよ?
 彼は、その……鬼龍院組の御曹司……若頭で大変立派な方なんだ。
 色々経営もしているし、それに頭脳明晰だし。性格も……」

「それってヤクザじゃん!!」

 私は、思わず大声で叫んでしまった。
息を切らしながら必死に頭の中を整理させる。

 えっ?何……それ。
鬼龍院組って確か……大きな屋敷のあるヤクザのはず。
 だとしたらお父様は、娘の私をヤクザの親分のところに嫁がせる気だったの?
 信じられない……自分の娘にさせるなんて。

「か、上紗……声大きい。
それにヤクザと言っても他と違って……」