はぁっ!?冗談ではないわよ!!
やっぱりこの男は、鬼龍院さんの身体が目当てなのね。
 そんな取り引き無効だわ!!

「そんな取り引き乗る訳がないじゃない。
ふざけないで!!」

 私は、鬼龍院さんを守るように金属バットを構えた。
鬼龍院さんなんて引き過ぎて硬直してしまっていた。
 すると可愛い系の美少年が大河内幸也に抱き付きながら

「うわっ……女のくせにあんなバットを振り回そうとしているし。
 幸也様に攻撃しようとかしないでよね。野蛮人女……」と言ってきた。

はぁっ?何ですって。誰が野蛮人よ……失礼ね!!

「ちょっと誰が野蛮人ですって!?」

「野蛮人じゃん。どう見ても」

 なんですって!!
お互いに火花が飛ぶ、何……この子。
美形だが何だか知らないけど失礼しちゃうわね!!
 この美少年と喧嘩をしていると大河内幸也が、やれやれとした表情で美少年の頭をポンッと撫でた。

「こらこら。こんなところで喧嘩をするなよ。
 俺らは、喧嘩しに来たんじゃないだろ?
さっきのは冗談だ。
まぁ……冗談でもなくてもいいがこれは、あくまでも
 この前のお詫びとこんな物騒な薬が街中で広められたら困るんでね。
 誤ってこの子らの口に入ったら大変だろう?」

 えっ……?それって……本気なのかしら?
確かに、こんな物騒なものを街中に広まれば誰の口に入ってもおかしくないけど……。
 それでも警戒して見ていると大河内幸也は、それをテーブルに置くと立ち上がった。

「こういうのは、鬼龍院組が得意専門だろ。
まぁ、よろしく頼むわ」

 そう言うと帰ろうとしてきた。
慌てて付き添いで来ていた美少年とイケメンの男性も一緒について行く。

「あの……本当に。これを渡したかっただけですか?」

 どうも納得がいかない。
酷い目に遭いそうになったせいもあるが……。
 すると大河内幸也は、こちらをチラッと見てきた。

「当たり前だ。言っただろう?
 それは、詫びと物騒なものを始末してもらうためのものだ。
 可愛いこの子らを守るのも俺の義務なんでね。
まぁ……諦めた訳ではないから、また来るわ」