今日は君が夜にしか来ない。
バイトがあるんだっていってた。
俺だって仕事あるんですけど、今日は休み貰ったのに。
不規則だから仕方がない。彼女には彼女の生活があり、その為にはアルバイトも必要なのだ。
学生時代には学生時代にしか得られないものがあるから、それを邪魔してはいけない、とは思うのだけれど。

ああ。

ひとりの部屋はすごく淋しい。ここだって元々一人暮らしで借りて生活していた部屋なのに、今はもう彼女がいることが当たり前になってしまった。
彼女と出会わなければ、もう少し人間として腐っていた気はする。

「はなは……」

呼んでも返事なんて聞こえるはずがなかった。
どうしてだろうか、彼女と過ごし始めてから酷く彼女の存在に助けられている自分がいる。
悪い意味ではなくて、もちろんいい意味で。

ゆっくりと目蓋を綴じで、テレビやら外から聞こえてくる車の音や雑音から意識を遠ざける。

真っ暗になった視界に浮んでくる。

君といる事。
君と話したこと。
君と、出会ったこと。

目蓋を閉じれば、君との出会いを思い出す。

君が……――、


【きみがくれた存在証明】
08'11'16
再：11'07'18