六月の下旬。

 晴海三兄弟から想いを告げられて二週間が経つ。

 あれから特に動きはなく。
 いつも通りの日常を過ごしている。


 のだけど。
 心の中は。
 日常とはいかなく。

 晴海三兄弟と顔を合わせれば。
 いつもよりも心臓の動きが忙しくなる。

 特に南風。
 南風は学校が一緒なだけではなくクラスも同じ。
 だから休み以外は必ず顔を合わせることになる。

 だから。
 南風がいる教室にいると。
 なんだか落ち着かなくて。

 表向きは平常心を装っている。
 けれど内心は正反対。

 そんな日々が二週間続いていると。
 さすがに疲れが出てくる。



 今日も。
 そんな感じで過ごし。

 そして放課後。


 途中まで友達と一緒に帰り。
 今は一人で歩いている。


 そのとき。
 突然、大粒の雨が降ってきた。
 その量はかなり多い。

 朝の天気予報では快晴と言っていたのに。

 それを信じて傘を持ってこなかった。
 折りたたみ傘も持ってきていない。

 天気予報が当たらなくて『もうっ』と思ったけれど。
 こういう時期は突然の雨もあり得る。

 だから折りたたみ傘すら持ってこなかったことを後悔した。


 のだけど。
 きっと今降っているのは通り雨。
 だから少しの間だけ雨宿りすれば、すぐに止む。

 もうだいぶ濡れてしまっているから遅いかもしれないけれど。
 雨宿りできる場所がないか探そうと思った。


「彩音?」


 そのとき。
 後ろから声がした。

 雨音が()じっているけれど。
 誰の声かはすぐにわかった。


 後ろを向くと。

 やっぱり。
 太鳳くんの声だった。


 太鳳くんは傘をさしている。


「彩音、びしょ濡れじゃないか。
 早く中に入って」


 中に、って……。

 それって……。
 相合傘……ということに……。

 それは……。