* * *
今。
南風と一緒に港に来ている。
電車で片道一時間くらい。
澄みきった青空。
真っ青な海。
それらはとても美しい。
だけど。
南風と一緒に見ていると。
より一層、美しく感じる。
「……彩音……」
美しい景色に見とれていると。
南風に名前を呼ばれ。
南風の方を向いた、ら……。
南風の唇が私の唇に……。
南風の優しさ。
それが伝わってくる。
「……彩音……」
唇がやさしく離れ。
熱を含ませた声で呼ばれ。
「好きだ」
愛おしそうな瞳でそう言ってもらい。
「私も……好き」
私も。
南風と同じ気持ちを言う。
そうして。
もう一度、唇を重ね合わせる。
そのとき。
心の中で、こう言う。
『南風。
これからもよろしくね』
♡end♡