そうして今に至る。


 今日は彼と会う約束をしている。

 約束の時間、彼が家を出るときにメッセージを送ってくれるらしい。



 そして。
 約束の時間になり。
 彼からメッセージがきた。


 メッセージを読み、すぐに家を出た。


「よう」


 家を出た瞬間、彼の声が聞こえた。


 ぶっきらぼうの中にも優しさが込められている。


 だけど。
 彼の声を聞くと幸せな気持ちになる。


「南風」


 そんな気持ちに包まれながら南風の名前を呼ぶ。


 少しだけ照れくさそうな南風。

 そんな南風のことを見ていると私も照れくさくなった。


「今日はどこへ行く?」


 そんな気持ちになりながら南風にそう訊いた。


「彩音が行きたいところでいい」


 だいたい南風はそう返答する。


 私が行きたいところを優先してくれることは嬉しい。

 だけど、たまには南風が行きたいところを言ってほしい。
 という気持ちも少しだけあったりする。


「私は南風と一緒なら危険なところ以外ならどこでもいい」


 南風と一緒にいられるだけで幸せだから。


「なんだよ危険なところって」


 少しだけ照れながらそう言った、南風。


「どこだろう」


 そんな南風のことを可愛いと思いながら笑顔でそう言った。