「じゃあ、オレはそろそろ行こうかな。あとはお二人さんで」 拓生くんはそう言ってベンチから立ち上がった。 そして私と一輝くんに「じゃあ」と言って、拓生くんは歩き出した。 拓生くんが歩いて行くのを見ている、私。 私は、このまま拓生くんが歩いて行くのをただ見ているだけで本当にいいのかと思った。 このままではいけない。 そんな気がした。 だから。 「拓生くん」 私はベンチから立ち上がって拓生くんのことを呼び止めた。