「ありがとう、彩月~」
宮下さんが私と彩月のところから立ち去った後、私は小声で彩月にお礼を言った。
「いいよ、そんなこと」
彩月は、さらっとそう言ってくれた。
「それにしても、そういう話って広まるの早いね~」
彩月は小声でそう言って、弁当のおかずをパクっと食べた。
「だって土曜日の夜に誰かが結菜と一輝が手をつないで歩いているところを見たんでしょ。実際はどれくらいの範囲まで広がっているかはわからないけど、どちらにしても月曜日の昼にはもう同じクラスの女子たちにまで伝わってるんだから。ほんとすごいスピードだよ」
彩月は小声でそう言いながら、弁当のおかずをパクパクと口に運ぶ。