帰り道の途中で抱きしめ合っている、私と一輝くん。

 今、周りに人はいない。

 もし人がいたら、慌てて一輝くんから離れてしまうかもしれない。

 でも今は周りに人がいないから、思いきり抱きしめ合うことができているのだと思う。

 一輝くんに抱きしめられていると、とても安心感がある。
 ドキドキもしている。
 いろいろな気持ちが混ざっている。

 私。
 幸せ。
 本当に幸せ。

 だから。


「一輝くん」


 一輝くんに。


「なぁに、結菜ちゃん」


 心から。


「ありがとう」


 感謝の気持ちを伝えたい。