いつまでも、ぼーっと突っ立ってたら一輝くんに悪い。


「……あっ……ごめんね、一輝くん。なんか急に大人っぽくなったから、ちょっとびっくりしちゃって」


 とにかく部屋の中に入ってもらおう。


「さっ、遠慮しないで中に入って。今日からここは一輝くんの部屋でもあるんだから」


 私は、まだ動揺が隠しきれていなかった。


「……じゃあ……えっと……おじゃまします」


 まだ少し遠慮気味の一輝くん。


「『おじゃまします』じゃなくて『ただいま』だよ、一輝くん」


「……あっ……そうだね……ただいま」


「おかえり、一輝くん。今日からよろしくね」


「こちらこそよろしくね、結菜ちゃん」