帰ってきた一輝くんは手を洗い、そのまま冷蔵庫の方へ。

 そして冷蔵庫のドアを開けてお茶を手に取った。

 お茶を手に取った一輝くんは、そのお茶をコップに注いだ。

 そして一輝くんは、お茶を飲み始めた。


 一輝くんのその行動を一通り見ている、私。

 一輝くんの行動を見ながら、私は思っていた。

 一輝くんに声をかけなくては。
 そして一輝くんに訊かなくては。
 でも、本当は訊くまでもないのかもしれない。
 もうわかっていることだから。
 でも、それでも訊かなくては。
 そう思っているのに。
 一輝くんに声をかけようと思っても、なかなか言葉が出てこない。
 声を出すことができない。
 どうしよう。
 このままでは、一輝くんは自分の部屋に入っていってしまう。
 そうしたら一輝くんに訊く機会がなくなってしまう。
 それは……それは絶対に嫌。
 だから。
 だから私は勇気を振り絞って一輝くんに声をかける。