公園を出て歩きかけた、私と拓生くん。
 それから十歩くらい歩いたとき。


「そうだ結菜ちゃん」


 拓生くんが私の名前を呼んだ。

 拓生くんに名前を呼ばれて私は「なぁに、拓生くん」と言って拓生くんの方を見た。

 拓生くんの方を見ると、拓生くんはいつものようにやさしい表情をしていた。

 そして拓生くんは話を始める。


「図書館に行くのはやめてオレの家に来てよ」


 拓生くんがそう言ったのを聞いた私は、


「でも……」


 と言った。

 なぜなら。
 私は、ためらっていたから。