「ねぇ、結菜~。市条くんってさ、結菜によく声かけるよね。ひょっとして市条くん、結菜のことが好きなんじゃない?」


 小さめの声でそう言った、彩月。


「な、何言ってるの、彩月。そんなわけないでしょ。拓生くんは友達なんだから」


 私は彩月に本当のことを言ったのに。


「ふ~ん、そう?」


 彩月の表情は少しニヤリとしていた。


「そうなの。私と拓生くんは友達なの。じゃあ、ちょっと行ってくるね」


 私は彩月にそう言って拓生くんのところに行った。