「結菜ちゃん」


 何かを思い出したかのように、私の名前を呼ぶ一輝くん。


「なぁに、一輝くん」


 どうしたのだろうと思いながら返事をする、私。


「お腹空かない?」


 一輝くんは、私にそう訊いた。


 そういえば。


 一輝くんに夢中になっていて、すっかり忘れていた。


 一輝くんに『お腹空かない?』って訊かれて今、気付いた。


 私、お腹、空いてるかも。


「うん、そうだね」


 私もお腹が空いていたので、そう答えた。