「そう、今度こそ運命の相手だと思うんだよね」
「そんなのなんでわかるの?」
確信を得ているのか、力説する彼女につい、訊いてしまった。
「好きになるんだから、運命でしょ」
「……あ、そう、なんだ」
あまりにあっさりとした答えに、これ以外の返事は浮かばなかった。
「でも、前は失敗したの?」
「前は、違ったみたい。前は私のことを好きじゃない人のことを好きになって、猛アタックしてつき合ったんだけど、それが悪かったのかなって。今度は、相手も私のこと好きっぽいから、たぶん大丈夫!」
自分のことを好きじゃない人は、運命ではないらしい。
そっか、そうなんだ。いや、わかんないけど。まあ一理あるような気がしないでもない。そういう考え方もあるのだろう。
つまりそれは。
「両想い、なんだね」
「松本さんも、今好きな人いる?」
「え? あ、いや、どうかな」
ここで〝いる〟と素直に答えられないのが、私だ。それが、私と澤本さんの違いなんだろう。素直にはほど遠い自分を再認識する。
かちんかちんと、ひっかかりを覚えたものがパズルのピースになって合わさっていく。
先輩は澤本さんの前でギターを弾かなかった。
ふたりはとても仲がいい。
澤本さんには好きな人がいる。
そして、放課後に先輩から返ってきた交換日記を読んで確信した。
_______________________
_______________________
_______________________
さすがに誰かはまだ教えられないけど
_______________________
でもめちゃくちゃかわいい子だよ
_______________________
_______________________
素直で 一生懸命で
_______________________
隠しごとができないくらい馬鹿正直で
_______________________
一緒にいると俺もウソがつけなくなるんだ
_______________________
_______________________
_______________________
――先輩の好きな人は、私じゃない。
「そんなのなんでわかるの?」
確信を得ているのか、力説する彼女につい、訊いてしまった。
「好きになるんだから、運命でしょ」
「……あ、そう、なんだ」
あまりにあっさりとした答えに、これ以外の返事は浮かばなかった。
「でも、前は失敗したの?」
「前は、違ったみたい。前は私のことを好きじゃない人のことを好きになって、猛アタックしてつき合ったんだけど、それが悪かったのかなって。今度は、相手も私のこと好きっぽいから、たぶん大丈夫!」
自分のことを好きじゃない人は、運命ではないらしい。
そっか、そうなんだ。いや、わかんないけど。まあ一理あるような気がしないでもない。そういう考え方もあるのだろう。
つまりそれは。
「両想い、なんだね」
「松本さんも、今好きな人いる?」
「え? あ、いや、どうかな」
ここで〝いる〟と素直に答えられないのが、私だ。それが、私と澤本さんの違いなんだろう。素直にはほど遠い自分を再認識する。
かちんかちんと、ひっかかりを覚えたものがパズルのピースになって合わさっていく。
先輩は澤本さんの前でギターを弾かなかった。
ふたりはとても仲がいい。
澤本さんには好きな人がいる。
そして、放課後に先輩から返ってきた交換日記を読んで確信した。
_______________________
_______________________
_______________________
さすがに誰かはまだ教えられないけど
_______________________
でもめちゃくちゃかわいい子だよ
_______________________
_______________________
素直で 一生懸命で
_______________________
隠しごとができないくらい馬鹿正直で
_______________________
一緒にいると俺もウソがつけなくなるんだ
_______________________
_______________________
_______________________
――先輩の好きな人は、私じゃない。