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おお、とうとう!
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これでななちゃんも一人前だな
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次のステップは告白か
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あ でも俺が先にするからな!
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抜け駆けはしないように!
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私に向けられた〝告白〟という単語に、
「無理無理無理無理」
と、誰もいない靴箱で叫んだ。
そんなのできるわけがない。そもそも、なんで私は前回のノートに余計なことを書き足してしまったのか。本人相手の交換日記だというのに。愚かにも浮かれていたとしか言いようがない。
「あーもう、もう、もう!」
処理の方法がわからない感情を、言葉にして吐き出す。両手で紅潮しているだろう自分の顔を覆い、じっとしていられずその場で足踏みをした。
落ち着け、落ち着くんだ私。
心の中で十秒ゆっくり数えてから「よし」と口元を引き締め冷静さを取り戻す。けれど、すぐにへにゃへにゃと緩んでしまった。
なんなのこれ。どうしていいのかわからない。自分の感情なのに、手に負えない。
これが、恋なのか。
先輩が好きだと、受け入れることができた昨日の放課後から、なにをしてても先輩のことを考えてしまい、浮かんでくる〝好き〟という言葉に心が弾む。弾みすぎて自分がどこにいるのか見失ってしまいそうになる。
数日前から、薄々気づいていた。目をそらしてこの気持ちは存在しないものにしようとしていた。認めて、具現化してしまったらもう、なかったことにはできないから。失恋確定の想いなんて、存在しないほうがいい。
とはいえ、言葉にするだけでこれほど気持ちが変わるとは。
体内の細胞がひとつ残らず乗っ取られてしまったみたいだ。
今度は壁に手をついて、項垂れる。まさか自分がこんなふうになってしまうとは。恋を舐めていた。耐えられない。けれど、幸福感のような充実感のような高揚感のような、名前のつけられないカラフルな感情が私の中を駆け巡っている。
壁に体を預けて、ずるずるとしゃがみ込む。そして、再び交換日記を読んだ。
抜け駆けなんてできるはずがない。
私にはまだその勇気もないし、そもそも。そもそもだよ。