だって、さびしさはゼロになんてならない。私でさえも感じるものだ。様々な原因で誰しもが抱く感情のはず。
たぶん、解決策はない。それを取り除くことはできない。だから。
「それよりも楽しい想いをたくさん感じたらいいんじゃないですかね」
無心で刺繍に励むとか、楽しい思い出の蓋を開けてみるとか。ひとつよりもふたつみっつと、増やしていけば、さびしい時間は減っていく気がする。
こんな答えでいいのだろうかと思っていると、先輩がくるっと振り返った。
目を細めて、愛おしむみたいなやさしいまなざしに心臓がわしづかみされる。
「じゃあ、江里乃ちゃんが一緒にいてくれたらいいよ」
そう言って先輩は私の手を取り、再び前を向いて歩きだした。
――もしかして。
自意識過剰かもしれない。けれど、そうとしか考えられない。
――先輩の好きな人って。
視界で、なにかがパチパチとはじける。その先にいる先輩が光を放っているように見える。
――先輩の好きな人って私なんじゃないの?
本当に? 思い違いじゃない? なんで? いつから? どういうこと?
先輩が交換日記に書いていた相手が自分のことかは、わからない。先輩にあれほど想ってもらえるようななにかなんか、知らない。
でも、どう考えても私なんじゃないの、という思いが拭えない。
だって、そうだったらうれしいから。
先輩のことを好きになっても無駄だと思った。だって先輩にはほかに好きな人がいる。そんな人を好きになっても、なんの見込みもない。それならば、気づかないふりをして、逃れようがないほど芽生えていた気持ちも目をそらしてごまかし続けてなかったことにしなければと思った。そうできるはずだと、信じて。
でも、もしも。
もしも先輩の好きな人が私なら?
だったら、先輩への気持ちを認めても、いいんじゃないの?
それって、両想いってことだよね。
そう思った瞬間、胸から好きの気持ちがあふれて止まらなくなった。つながれた手から、色とりどりの花が咲き開き広がっていく。私の世界が突然、彩りあふれたものに変わっていく。
それは、先輩と別れてひとりになってからも、家に帰ってからも。
抱えきれずこぼれた想いをすくい集めて、ペンを走らせた。
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先輩 私にもわかってきたかも
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私も そんなふうに想う人が
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好きな人が できました
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たぶん、解決策はない。それを取り除くことはできない。だから。
「それよりも楽しい想いをたくさん感じたらいいんじゃないですかね」
無心で刺繍に励むとか、楽しい思い出の蓋を開けてみるとか。ひとつよりもふたつみっつと、増やしていけば、さびしい時間は減っていく気がする。
こんな答えでいいのだろうかと思っていると、先輩がくるっと振り返った。
目を細めて、愛おしむみたいなやさしいまなざしに心臓がわしづかみされる。
「じゃあ、江里乃ちゃんが一緒にいてくれたらいいよ」
そう言って先輩は私の手を取り、再び前を向いて歩きだした。
――もしかして。
自意識過剰かもしれない。けれど、そうとしか考えられない。
――先輩の好きな人って。
視界で、なにかがパチパチとはじける。その先にいる先輩が光を放っているように見える。
――先輩の好きな人って私なんじゃないの?
本当に? 思い違いじゃない? なんで? いつから? どういうこと?
先輩が交換日記に書いていた相手が自分のことかは、わからない。先輩にあれほど想ってもらえるようななにかなんか、知らない。
でも、どう考えても私なんじゃないの、という思いが拭えない。
だって、そうだったらうれしいから。
先輩のことを好きになっても無駄だと思った。だって先輩にはほかに好きな人がいる。そんな人を好きになっても、なんの見込みもない。それならば、気づかないふりをして、逃れようがないほど芽生えていた気持ちも目をそらしてごまかし続けてなかったことにしなければと思った。そうできるはずだと、信じて。
でも、もしも。
もしも先輩の好きな人が私なら?
だったら、先輩への気持ちを認めても、いいんじゃないの?
それって、両想いってことだよね。
そう思った瞬間、胸から好きの気持ちがあふれて止まらなくなった。つながれた手から、色とりどりの花が咲き開き広がっていく。私の世界が突然、彩りあふれたものに変わっていく。
それは、先輩と別れてひとりになってからも、家に帰ってからも。
抱えきれずこぼれた想いをすくい集めて、ペンを走らせた。
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先輩 私にもわかってきたかも
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私も そんなふうに想う人が
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好きな人が できました
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