太陽が昇るその前に、まだ寝ている身体を無理矢理起こした。
毛布を纏い、物置のようになっている屋根裏へと足音を立てないように、そろそろと向かう。
物置のようにはなっているが、年末にした大掃除の甲斐あって埃っぽさはない。
海に面している窓を開けると、冷たい空気が入ってくる。
ぶるりと身震いするけれど、キリッと引き締まって良い、と思えなくも、ない。
まだ暗がりだが、やがて街に色が付いていくだろう。
きっとこの先の未来をも照らす光だ。
きりりと冷えた空気で頭も次第に澄んでいく。
そして暗闇の中では見えなかった海から、紅く燃える太陽が昇りだす。
それは街を染めていく。
年が明けたその日は、朝から快晴で穏やかな日だった。

再び自室に戻り身支度を簡単に整える。
朝食の支度をしだすにも、まだまだ早い。
アタシは寝ている体を起こすように、時間をかけてストレッチを始めた。
しなやかな踊りには体作りは大切だ。
怪我をしたら踊りそのものができなくなる。
ストレッチは日課ではあるものの、毎年、新年初めのこの日はことに丁寧にストレッチをしている。
しっかり時間をかけて身体を伸ばすと、時間もそれなりに良い時間になっている。
街の子供たちもこの朝はまだ布団の中にいるのか、それとも家族団らんの中なのか、外は静かだった。
窓の外には快晴の空が広がる。
この分だと一日中晴れだろう。
夜にはきっと、星も月も奇麗に見える。
アタシは一着のドレスを取り出して壁に掛けた。