神様と私の秘密の7日間

将来の夢についての作文。

小学生だったらきっとすぐに書き終えてしまうのだろう。

あの頃の私は、本気で魔法使いになれると思っていた。

広い空を飛んでみたり、魔法を使ってみんなを笑顔にしたり……

いつからだろうか? その夢が壊れる音がしたのは。

小学6年生の卒業文集で書いた将来の夢。
みんなは保育士や学校の先生、有名人になるなど、魔法使いより現実味があった。

その時書いたことは、はっきりとは覚えてない。
【夢は決まってないけれど、人を笑顔にしたい】
そう書いた気がした。

大きくなると共に、社会を学ぶと共に、晴空という私を心の中に閉まっている。

心から笑っていたあの頃が懐かしい。
何も知らない、何も考えなくていい、感情のままに生きていたあの頃が羨ましい。

「何書こう……?」

作文用紙には名前しか書いていない。

大きく将来の夢は未定と書くか?
それともこのまま提出するか?

出さない気だったけれど、提出物を出さないと成績が悪くなるし……

この作文通りの職業にならなくてもいい。
今思う、夢を書けばいい
それは分かっているけれど、実際には書けない。

「お姉ちゃんただいま!」

「おかえり、海美」

私と妹は1つの部屋をカーテンで仕切っている。

お互いが部屋にいて、エアコンを使用している時はカーテンを開けることにしている。

「お姉ちゃん、まだ宿題終わってないの?」

「そう言う海美は? 日記とかどうなの?」

「大丈夫!」

今年から中学生になった海美は去年と違い、宿題をしっかり終わらせているみたい。
姉の私が終わってないのは、みっともない。

「そんな怖い顔してどうしたの?」

「なんでもないから大丈夫だよ」

「そんなにやりたくなかったら、やらなくてもいいんじゃない?」

「そうだね」

作文用紙をくちゃくちゃにしてゴミ箱に捨てたかったけれど、流石にそれはヤバいと思って半分に折りファイルにしまった。