数年前に公園で出会った少女はひとりベンチの端に座り、空を見上げていた。
不思議な雲の形を見つけたのか?
同じベンチの端に座り、彼女の様に空を見上げてみた。
けれどいつもと変わらない空だった。
「お兄さんは何になりたい?」
独り言にしては大きい声。公園を見渡してもお兄さんと呼ばれるのは僕しか居ない。
「僕のことかい? 僕は何になりたいかな?」
唐突な質問だったので答えられなかった。
まだランドセルを背負っている少女に質問を質問で返すのは可哀想だと思いながら、
「君は何になりたいの?」
と聞くと、
「私は……私はみんなに夢を与えたい」
と言った。
◇◇◇
子供から大人まで、年齢を問わず楽しめると話題のアニメが放送されている今日。
OPとEDを歌っているのは高校2年生の女の子だと分かり、さらに話題になっている。
けれどその子は一切顔を出しておらず、テレビの音楽番組にも姿を現しはしなかった。
「神崎!最近話題の少女のインタビューのアポ取れたからよろしくな!」
上司にあたる佐藤さんが提出期限が明日までの記事を仕上げるために忙しいのを知っているのに僕に仕事をくれた。
「どうやってアポとったんですか?」
「コネだよ! コネ」
と自信満々でいう佐藤さんに少しいかりを覚えながらも、仕事をきちんと与えてくれる上司に感謝しかない。
「わかりました」
「後で日程と詳細を送るから」
そう言って、期限が今日となっている資料をまとめるという作業をもくもくと進める佐藤さん。
「佐藤さん、また期限ギリギリですね」
同期の朱里さんが佐藤さんのデスクに並べられているメモ帳を見ながら言った。
「期限に間に合えばいいんだよ」
「そう言って、1か月前残業した事私達は覚えてませんからね! ね〜直樹くん!」
「そうだね。まだ奢ってもらってもないね」
佐藤さんは毎回期限ギリギリまで仕事を溜め込み、最終的に部下である僕と朱里さんが残業という形で手伝っている。
一見、仕事が出来ない上司だと思われがちだが、仕事のアポは取ってきてくれるし、佐藤さんのまとめた資料は見やすく分かりやすい。
「お前ら、これが終わったら飲みに行くからな!」
「「はい!」」
と、午前中は張り切っていたがやはり、終わらなくて僕らが手伝う羽目に。
飲みに行くのも延期になり、さらに少女のインタビューの日にちは明後日。
明日はインタビューの準備で忙しそうだ。
◇◇◇
「初めまして、歌手のそらです。今日はよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
応接室に通された僕を待っていたのは、黒髪のポニーテールをしている少女。
先に挨拶され、準備していた挨拶文を全て言うことなく挨拶を終えた。
大人っぽいメイクをしているが、まだ子供感が抜けていない感じがする。
「では早速始めましょう。まずはデビューする前とデビューしてからアニメの主題歌を歌うまでの事を聞いても?」
「はい」
レコーダーの電源を入れ、新品のノートの初めのページに折り目をつける。
「ではお願いします」
「私はあの日神様に会いました。そして、その神様が私の人生を360度変えてくれました」
そう言って微笑んだ少女の姿を見て、忘れていた記憶がよみがえる感じがした。
不思議な雲の形を見つけたのか?
同じベンチの端に座り、彼女の様に空を見上げてみた。
けれどいつもと変わらない空だった。
「お兄さんは何になりたい?」
独り言にしては大きい声。公園を見渡してもお兄さんと呼ばれるのは僕しか居ない。
「僕のことかい? 僕は何になりたいかな?」
唐突な質問だったので答えられなかった。
まだランドセルを背負っている少女に質問を質問で返すのは可哀想だと思いながら、
「君は何になりたいの?」
と聞くと、
「私は……私はみんなに夢を与えたい」
と言った。
◇◇◇
子供から大人まで、年齢を問わず楽しめると話題のアニメが放送されている今日。
OPとEDを歌っているのは高校2年生の女の子だと分かり、さらに話題になっている。
けれどその子は一切顔を出しておらず、テレビの音楽番組にも姿を現しはしなかった。
「神崎!最近話題の少女のインタビューのアポ取れたからよろしくな!」
上司にあたる佐藤さんが提出期限が明日までの記事を仕上げるために忙しいのを知っているのに僕に仕事をくれた。
「どうやってアポとったんですか?」
「コネだよ! コネ」
と自信満々でいう佐藤さんに少しいかりを覚えながらも、仕事をきちんと与えてくれる上司に感謝しかない。
「わかりました」
「後で日程と詳細を送るから」
そう言って、期限が今日となっている資料をまとめるという作業をもくもくと進める佐藤さん。
「佐藤さん、また期限ギリギリですね」
同期の朱里さんが佐藤さんのデスクに並べられているメモ帳を見ながら言った。
「期限に間に合えばいいんだよ」
「そう言って、1か月前残業した事私達は覚えてませんからね! ね〜直樹くん!」
「そうだね。まだ奢ってもらってもないね」
佐藤さんは毎回期限ギリギリまで仕事を溜め込み、最終的に部下である僕と朱里さんが残業という形で手伝っている。
一見、仕事が出来ない上司だと思われがちだが、仕事のアポは取ってきてくれるし、佐藤さんのまとめた資料は見やすく分かりやすい。
「お前ら、これが終わったら飲みに行くからな!」
「「はい!」」
と、午前中は張り切っていたがやはり、終わらなくて僕らが手伝う羽目に。
飲みに行くのも延期になり、さらに少女のインタビューの日にちは明後日。
明日はインタビューの準備で忙しそうだ。
◇◇◇
「初めまして、歌手のそらです。今日はよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
応接室に通された僕を待っていたのは、黒髪のポニーテールをしている少女。
先に挨拶され、準備していた挨拶文を全て言うことなく挨拶を終えた。
大人っぽいメイクをしているが、まだ子供感が抜けていない感じがする。
「では早速始めましょう。まずはデビューする前とデビューしてからアニメの主題歌を歌うまでの事を聞いても?」
「はい」
レコーダーの電源を入れ、新品のノートの初めのページに折り目をつける。
「ではお願いします」
「私はあの日神様に会いました。そして、その神様が私の人生を360度変えてくれました」
そう言って微笑んだ少女の姿を見て、忘れていた記憶がよみがえる感じがした。