森の中にいて

町へ向かって

町で話しかけてくれた老夫婦に助けてもらって

でも助けてもらったと思っていた二人は私を売る話をしていて

たまたまそれを聞いた私は、命からがら逃げて、行く場所もないと森の中へと逃げ込んだ。

そこまで話しすと、ジンさんそうだったかと頷いた。

「ここはもう獣人側の精霊の領域だ。人間は追ってはこれない、安心するといい」

もう追いかけられない。安心して、やっと息が出来る心地がした。

「あの、精霊の領域っていうのは」

「……そうか、そうだったな。君には一から教えた方がいいな」

立ち上がったジンさんは、戸棚からある古い地図を取り出しそれを机の上に広げた。

大きく三つにエリアが分かれている。そのエリアの中に細かく町の名前が刻まれていた。

「右から、人間の領域、精霊の領域、そして獣人たちの領域だ。太古の昔、人間と獣人が争いを起こし、二種が交わらないように精霊が領域を設けたとされている」

今いるのはここだとジンさんが指をさしたのは、精霊の領域内だが獣人の領域に近い場所だった。

「人間も獣人も精霊の領域に入ることは可能だ、だが互いの領域への侵入が出来ないように魔法がかけられていて、これを突破するには精霊の許可が必要だ」

「許可??」

「あぁ、精霊の領域への入り口はそれぞれ森、砂漠、海にある。森はドライアド、砂漠はノーム、海はウンディーネが取り仕切っていて彼らの許可がないと先に進めない。無理やり進んでも元の場所に戻るようになっている」

精霊の領域に入ることは出来ても、もう一つの領域まではいけない。

人間がもし森から獣人の国に行きたいと思ったら、ドライアドにあって通行の許可をもらわないと獣人の領域へはいけない。

無理やり進んだところで、スタート地点に戻ってしまう。時間と労力の無駄になるからわざわざ行こうとはしないのか。