「長時間振り回してすみませんでした。体調はいかがですか?……彩乃さん」
彼女は、ハッとして目を見開いた。
彼女の持つビタミンカラーが大きく揺れる。
その色は雪乃さんの持つ元気なオレンジ色ではなく、うっすらとした儚いレモン色だった。
「どういうことやねん?」
現状を飲み込めない恭太郎が、颯ちゃんと彩乃さんをマジマジと見ている。
「あの人、雪乃さんじゃなかったんか?」
その言葉に、私はこくりと頷いた。
私も初めは元気なオレンジ色をまとった雪乃さんだと思っていた。
彼女を取り巻くオレンジ色がうっすらとした色に見えるのは、きっと眩しすぎる太陽の光のせいだと思っていた。けれど、日が陰る場所でも、彼女の色は変わらなかった。
彼女が持つ色は、オレンジではなく、儚いレモン色だったのだ。
雪乃さんのビタミンカラーと似た色を持つこの人は、雪乃さんにとても近い人。
それならば、この人は――……。