「本当ですか? よかった」

 そう言った彼女のビタミンカラーがふわふわと揺れ動いている。

 いつもよりも薄いビタミンカラーをまとった彼女の微笑みは、とても愛らしかった。

 数秒後、私は、いいな……と思ってしまった。

 颯ちゃんとデートができて。

 大人の颯ちゃんと並んでも、ひけを取らない綺麗な女性で………。

 同年代の二人は、とてもお似合いだ。
 私は自分の格好を見た。

 朝からため息ばかりついている私を見つけた恭太郎に「陰気臭いな! ほら、つけるぞ!」と引っ張ってこられた私の格好は、大きめのTシャツに中学生の時から履いているフロンとボタンのスカート。白のスニーカーに、髪の毛はおさげだ。

 突然連れ出されたこともあり、完全に室内着。恥ずかしいくらいダサい恰好をしている。

「今日の一香は、全然高校生には見えへん。変装大成功やな」

 いつもはセットしている髪をすべて下ろして、普段よりもずっと幼い恭太郎が言った。

 彼もおしゃれを楽しんでいるとは、お世辞にも言えない。後頭部に寝ぐせがついている。

 遠くから見ると、地味な兄妹のように見えるかもしれない。