そして、とうの本人たちは蚊帳の外で、私たち二人の関係が決まってしまったのだ。

 初めは嫌々サポートしていた恭太郎と私の関係も、一年経った今は、互いに心許せる友だち関係になれたように思う。

 今思えば、恭太郎がいなかったら、私は慣れない京都の街でさまよい歩いていたはずだ。

 やはり私がこの町にこれほど早く馴染めたのは、恭太郎を含む商店街の皆さんのおかげなのだ。

 本当に感謝しかない。

 けれど、二年生からは一緒に帰ることをやめようと思っている。今朝、恭太郎にそのことを告げたけれど軽く無視されたので、ラインだけ打って、先に帰ってきたのだ。

「おい、一香」

 お店の奥で着物に着替え終え、祖母と店番を変わり、レジ前に立っていると、不機嫌を顔にはりつけた恭太郎が大きな暖簾をくぐって店の中にやって来た。
 恭太郎の体に取り巻く色が大きくなり、怒りと心配の感情を含んだ揺れた方をしている。

「お前、勝手に一人で帰るなよ。探したやろ」

「探したって、ちゃんとライン打ったよ? しかも今朝も言ったよね? 今日から一緒に帰らないって」

「なんでやねん。突然」

「いいの、いいの。私はもうこの町になれたから、迷子になる心配もないし。そろそろ恭太郎ばなれしなくちゃいけないなっと思って」

「はあ?」