ポツリと声を漏らしてしまって、ハッとした。私に話しかけられたわけじゃなかった。

「ああだったら、こうしていれば、の略ですよ」

「あ、ありがとうございます」

 颯ちゃんに教えてもらい、私は慌てて頭を下げた。

「妹の病状は、良くなったり、悪くなったりの繰り返しで。今は落ち着いているものの、また新たな合併症がわかってしまって……。その手術を受ける前に、妹に何かできないかと考えたんです」

「……というと?」

「……三ツ井さんのデート中のお写真をいただけませんか?」

「は?」

 いつも冷静な颯ちゃんが固まっている。

 私も想像を絶する提案にあんぐりと口を開けた。

「三ツ井さんがデートしている写真を見れば、妹は自分とデートしている気分になれるのではないかと思って……」

「……デート、ですか?」