まだ喋る続ける私を見て、ふんわり笑うのは、目の前に座っている颯ちゃんだった。

 鴨川沿いに立つ京町屋では、期間限定で、鴨川に納涼床を楽しめる。

 目の前に、夜の京都の街並みや鴨川を眺めながら、大人たちは地酒を楽しんでいる。

 未成年の私の前には、オレンジジュース。
 私は颯ちゃんに笑われてしまったことが恥ずかしくて、私はそっとジュースを飲んだ。

 今夜は、令月香へやって来た颯ちゃんを祝う会。
 メンバーは、祖父母に颯ちゃんと私の四人。川床で小さな祝賀会を開いている。

 納涼床で風を感じている颯ちゃんを見ていると、なんだか不思議な気持ちになってきた。

 本当に、帰ってきたんだ……と、まだどこかで信じられない私がいるのだ。

「淡路はどうやったんや?」

 普段、無口な祖父が日本酒を飲みながら言った。