この仕草もそう。

 小学生時代、落ち込んだ私に颯ちゃんがしてくれたことと同じことだ。

 彼が私に向ける愛情は、変わらない。

 彼が私を可愛がってくれているのは、昔も今も同じ理由だと思う。

 それはきっと、家族愛――。

 颯ちゃんは今も私のことを小学生のように思い、家族のように、そして手のかかる妹のように接しているのだろう。

 普段の私なら、目の前の人の色を見れば、ある程度その人の感情や本心がわかる。

 その人を取り巻くオーラのような色の動き方、くすみ方、輝き方から、心の動きがなんとなくわかるのだけれど、彼だけはわからない。

 それは、彼には色がないから。

 涼やかにこちらを見つめる彼には、どうして色が見えないのだろう。
 じっくりと見るけれど、やはりわからなかった。

「一香さん?」