コンコンチキチン、コンチキチン。

 どこからともなく祇園囃子の音色が聞こえてくる七月、この町では大きなお祭りが始まる。
 それは日本三大祭りの一つの祇園祭だ。

 祇園祭とは、七月一日から三十一日まで、一か月にわたって多彩な祭事が行われる八坂神社の祭礼で、千百年の歴史があるお祭りだ。

 私の住む寺町商店街には、子ども神輿から始まり、舞妓さんの行列もあるにぎやかな花笠巡行が通る。

 アーケードのある商店街は、真夏の日差しをさけ、しかもこれ以上ない近さで花笠巡行を観ることができるため、商店街を通る花笠巡行は、知る人ぞ知る祇園祭の楽しみ方の一つとなっている。

 祇園祭のクライマックス、「山鉾巡行、後祭」と「花笠巡行」は七月後半。

 七月に入ったばかりの京都の街は、その日を今か今かと待っているかのように、少しそわそわしている。