「これね、商店街入ってすぐの和田さんからもらったよ? 佃煮だって」

 先ほど預かった佃煮入りのビニール袋を差し出すと、祖母はそれを愛おしそうに見つめ、口元を緩ませた。

「そうかぁ。和田さんとこの佃煮美味しいから、嬉しいわ。また後でお礼言いにいってくるわな」

「さっき私からお礼言ったよ?」

「それとこれとは話が別や。私からもちゃんとお礼が言いたいんや」

「うん……」

 律儀で生真面目な祖母の性格がすごく好きだと思う。社交的で明るい祖母の性格が羨ましいとも思う。

「そういえば、今日は恭ちゃんと一緒とちがったんか?」

「恭太郎?」

「せや。一香はいつも恭ちゃんと一緒やろ?」