びっくりした……。

 それにしても、突然持ち上げておいて、”思っていた以上に重いですね”は、ないんじゃない? 恭太郎も“パンツ”とか言うのやめて……。

 頬が赤くなるのがわかる。うつむいていると低い声が落ちてくる。

「失礼しました」

 颯ちゃん、本当に失礼だよ……。
 ううう、そんなところも颯ちゃんらしいけど。

 きっと颯ちゃんの中で、私は小学生のままなんだ……。

 恥ずかしさと悲しさと戦いながらも、それでも私は颯ちゃんが目の前にいることが嬉しくてたまらなかった。まだ信じられない。夢じゃないよね?

 目を上げると、視界がぼやけていた。それでも颯ちゃんを見ていたくて、視線は外せなかった。

 その気持ちが彼に届いたのだろうか、彼がもう一度目を合わせて、花のような笑顔を添えて言った。

「ただいま、一香さん」