「白砂を積み上げて、縁を戻す祈願をする」

 恭太郎の言葉通り、私は白砂を盛り、目を閉じて、祈った。

 “彼の大切な匂い袋との縁が、無事戻りますように――。”

 今の私にはこれくらいのことしかできないけれど、大切な思い出なら、きっと取り戻せるはず、そう信じたかったのだ。
 手を合わせて、深く祈っていると、私の横顔をじっと見ていた恭太郎が言った。

「終わったか?」

「うん」

「じゃあ、自分のお願いもしろよ?」

「私のお願い?」

「……会いたいやつがいるんやろ?」

「…………うん」

 私はもう一つ白い石を取って、となりに積み上げた。

 そして、目を閉じて、強く祈った。

 私の初恋の人――……、三ツ井颯也さんとの縁が戻りますように……。

 神様、お願いです。
 一目だけでもいい……。
 もう一度、颯ちゃんに会わせてください――。

 私は強く強く祈った。