バスを降りるとしばらく歩いた。
「わかりずらいところに、あんねん」
そう言いながら、住宅街を歩いていく恭太郎について歩いていく。
本当にこんなところに神社があるのだろうか。私たちはずっと住宅街の中にいて、路地裏とも呼べないような細道を歩いている。
「本当にここにあるの?」
「あぁ。雅也の家の近くにあるって言うてたし、この辺のはずやけど」
「恭太郎は行ったことないの?」
「あるわけないやろ。縁戻しを頼まなあかんほど、困ってへんしな」
恭太郎とそんな話をしながら、歩いていくと、住宅地の中にぽつんと立っている鳥居を見つけた。その奥に小さな神社が見える。
「……ここ?」
「せや。ここや。櫟谷七野(いちいだいななの)神社」