日曜日の商店街の朝は早い。

 平日よりもたくさんお客さんが来るからだろう。
 令月香からは、工事の音が聞こえてくる。

 「令月香」はこの夏から、“聞香カフェ”を開くことになっていて、最終の外構工事が行われているのだ。令月香のお庭と、聞香カフェのお庭がつながることになる。

 今、運ばれているのは、ツツジだろう。先週植えられたばかりのヤマボウシの隣に配置するはずだ。緑豊かな心地よい庭にすると祖父が言っていたことを思い出し、私も柔らかな気持ちになる。

 私は、現場の人たちに、ペコリと頭を下げてから、お店に入った。

 お香や雑貨が並ぶ店舗「令月香」と繋がるようにして、長い廊下が出来上がっている。

 その奥に、新しくカフェ用の離れが造られた。カフェの内装は、すでに整えられてある。外構工事さえ終われば、この夏から令月香に、“聞香カフェ”がオープンするのだ。