京都やわらぎ聞香処(もんこうどころ)



「そろそろ帰りましょうか」

と颯ちゃんに言われ、鴨川を背に歩き出した。少し歩いて路地を抜けると長い長い石階段が見えた。

 ああ、ここは……、と私の胸が高鳴りだす。

 この石階段を上がれば、思い出の神社がある。

 私の恋はこの場所から始まった。

 そして、これからも続いていくと信じてる。


「一香さん、よければ、手を……つなぎませんか?」

「……え、あっ、はい」


うっすらと頬を赤く染めた、あなたと私と。


【完】