改めて一緒に暮らす中で、今まで言えなかったことを私はぽつりぽつりと話した。
私はお母さんの悲しみの色を見るのが辛かったこと。一緒に苦しめたくなかったこと。これ以上嫌われたくなかったことを告げた。香りを感じながら、自分中から零れた本心は、まだ母を愛していると告げるものばかりで、気づけば私は涙を零して話していた。
「私はずっと、お母さんの悲しみや苦しみは私のせいだって思ってたの……。だから、離れた。それを母は受け入れた。私は捨てられたも同然だってどこかで思ってた……」
私の本心を聞いて、母も本心を話してくれた。
その中で互いに小さな誤解やすれ違いがいくつもあったことが分かった。
そして、何より……悲しみ、苦しみを抱いていたのは……私だけじゃないことを知った。
「お母さんは、京都出身の父があれだけ欲しがっていた“特別な力”が私にあることがわかってすごく動揺したって言ってた。だから父には相談できなかったって。それで一人でなんとかしようと思っていたけど、うまくできなかったって。お母さんは私の苦しさや不安を取り除いてあげられない未熟な親であることが悲しかったって、教えてくれた……」
母の色がずっと悲しみに揺れていたのは、私が嫌いだからじゃなかった。
子どもを守りきれない母親の、自分に対する怒りのような、絶望のような、深い深い悲しみだったのだ。
「そして、母は言ってくれた。守りたかったのに、守れなくてごめんなさい――。って。そう言った母も涙を零していて、そんな母の肩を抱き、父と母はやり直そうって言ってくれた」
――もう一度、三人で暮らそうって。
私はお母さんの悲しみの色を見るのが辛かったこと。一緒に苦しめたくなかったこと。これ以上嫌われたくなかったことを告げた。香りを感じながら、自分中から零れた本心は、まだ母を愛していると告げるものばかりで、気づけば私は涙を零して話していた。
「私はずっと、お母さんの悲しみや苦しみは私のせいだって思ってたの……。だから、離れた。それを母は受け入れた。私は捨てられたも同然だってどこかで思ってた……」
私の本心を聞いて、母も本心を話してくれた。
その中で互いに小さな誤解やすれ違いがいくつもあったことが分かった。
そして、何より……悲しみ、苦しみを抱いていたのは……私だけじゃないことを知った。
「お母さんは、京都出身の父があれだけ欲しがっていた“特別な力”が私にあることがわかってすごく動揺したって言ってた。だから父には相談できなかったって。それで一人でなんとかしようと思っていたけど、うまくできなかったって。お母さんは私の苦しさや不安を取り除いてあげられない未熟な親であることが悲しかったって、教えてくれた……」
母の色がずっと悲しみに揺れていたのは、私が嫌いだからじゃなかった。
子どもを守りきれない母親の、自分に対する怒りのような、絶望のような、深い深い悲しみだったのだ。
「そして、母は言ってくれた。守りたかったのに、守れなくてごめんなさい――。って。そう言った母も涙を零していて、そんな母の肩を抱き、父と母はやり直そうって言ってくれた」
――もう一度、三人で暮らそうって。
