私は颯ちゃんの家族を見ながら、ある決意を固めていた。
 その決意が揺らがないように、私は空に向かって言った。

「私も……東京に帰るね」

 突然すぎる話だったのか、呆気にとられたかのように、颯ちゃんにじっと見つめられたのが横目に分かった。私は視線を空に向けたまま話を続ける。

「実は今日、父から電話があって、東京へ帰ってこないかって言われたの」

「……」

「もう一度、三人で暮らさないかって」

「……」

「私、ずっと迷ってたんだけど、颯ちゃんの家族を見て、決意した。私、家族に会いに行く」

 私も過去を乗り越えたい。

過去を納得して、目をそらさずに、前へ進みたい――。

 だから荷物をまとめて東京へ帰ろう。そしてちゃんと自分の想いを伝えるんだ。