飛び石には、高校生くらいの女子たちが足を出して、水につけていたり、学生たちが芝生の上で会話を楽しんでいたりする。
京都へ来て、一年が経つけれど、行ったことがないところが多いなと思った。この鴨川デルダに来たもの初めてだったから。
鴨川での遊びに夢中になる日菜子ちゃんが見える位置に、私たち二人は腰を下ろした。
飛び石を飛び終えた日菜子ちゃんが同じ年くらいの男の子と女の子に声をかけられている。
「この辺の子?」
「どこから来たん?」
「淡路やで!」
日菜子ちゃんがそう答えたことで、私はドキリとした。
颯ちゃんや日菜子ちゃんが関西弁を使うから、関西の人だとは思っていたけれど、まさか淡路だとは思わなかった。
淡路島は、颯ちゃんが修行に行っていた島だ。
颯ちゃんは、淡路を出て、京都の大学へ通っていた。そして修行のため淡路へ戻り、また京都へやってきた。
鈍感な私は、彼が京都へ戻ってきてくれたことで、ずっと京都にいてくれるのではないかと思っていた。けれど彼がここにいるのは期間限定なのではなのかもしれない。
そういえば、私は彼の肝心なことを……何も知らない。
