私は人とは違う、変わった体質らしい。

 生まれながら備わっていたその感覚は、誰にでもあるものだと思っていた。けれど、違ったことに気づいたのは、小学校に入ってからだった。

『愛ちゃんの色、綺麗な色だね?』

『色ってどれのこと?』

『ほら、愛ちゃんの体から出てる。黄色だよ?』

『黄色? 私、黄色なんて身につけてないけど……。それに私、黄色嫌いなんだ。だって、全然可愛くないじゃん』

『そういう意味じゃなくて……』

『じゃあ、どういう意味⁉ 私はピンクよ! ピンクが一番好きなの!』

『……でも、愛ちゃんの体から出てるよ? 黄色のオーラがたくさん』

『一香ちゃん、何言ってんの⁉ 私の好きな色はピンクよ! 自分のイメージカラーをピンクにしたいからって、勝手に決めつけないで! 絶対にピンクはあげないから!』

 そういうことを言ってるんじゃないんだけど……。

 そう思いながらも、冷ややかな視線を向けられた私は「ごめんなさい」と謝った。

 私が愛ちゃんを怒らせてしまい、クラス中の空気を悪くしてしまったから―。

 物心ついた時から、私は、人のまわりに色が見えた。

 簡単にいうと、オーラのようなものが見えるのだ。

 人のパーツが生まれたから死ぬまで変わらないように、その人を取り巻く色もずっと変わらない。

 愛ちゃんは、黄色。このはちゃんは、オレンジ。かれんちゃんは、青。
 色の明暗と性格や性別は何も関係しなかった。ただ、体を取り巻く色がうすくなったり、大きく揺らめいたり、陰ったり、変化することで、その人の気持ちがわかった。

 人間とは、そういう生き物だと思った。
 身体と共に色が見える。それが当たり前だと思っていた。

 けれど、周りの人は誰もYESとは言わなかった。逆に私のことをNOと言った。