京の七夕、風鈴灯。ライトアップされる京都を充分に楽しんだ私たちは、家路へと向かう。

 四条大橋を登り終えると、遠くのほうに東山が見える。京都はぐるりと山に囲まれていて、この場所にいると都会にいるのか田舎にいるのかわからなくなる。

 そんな景色の中、信号待ちをしていると、颯ちゃんが東山のほうを見ながら言った。

「次は、五山の送り火ですね……」

 五山の送り火とは、五つの山に火をともして夜空を照らす夏の行事だ。祇園祭りに続き、五山の送り火は京都の夏の風物詩ともいわれている。この行事を見るために、各地から沢山の観光客が訪れるほどだった。

 五山の送り火は、私も見たことがある。

 祖父母と一緒に、橋の上から見ていた。

「おしょうらいさんたち、ちょうど、かえって来られているのかな?」

「そうかもしれないですね」