「会いたいけれど、会えない人……ですか?」
「ええ」

 初めてそんなことを訊かれた。私の頭の中に、ポンポンと二人浮かび上がった。

「……二人、いました」

「いましたって、過去形なの?」

「はい」

 一人はもう願いが叶った。

 私の会いたくて会えなかった人、その一人は、颯ちゃんだ。

 もう会えないと思っていた。もう帰ってきてくれないと思っていた。
 けれど、彼は帰ってきてくれた。

「一人とは会えました。ずっと願うことしかできなかったけれど、願い続けていたら会えました」

 ふわりと彼女の色が弾んだ。

「けれど、もう一人は……会いたくても、会えないままです」