硝子越しの店内から、ねっとした空気が流れているのがわかる。直射日光は届かなくても、蒸し暑いことには変わりなさそうだ。

 そこへ涼しげの水色のワンピースを着た女性が現れた。

 肩につく真っ直ぐなストレートの髪、華奢な体に、弓の形に細める瞳。薄紫色をまとったその女性は、先日、令月香にラベンダーの香りを探しに来てくれた女性だった。

「こんにちは」

「いらっしゃいませ」

 彼女と私の声が重なって、二人で目をあせて微笑みあう。

「ラベンダーのお香、置いてますか」

「はい。少々お待ちください」

 私がいつもの場所へ行くと、

「あれ? どうして……」