初夏の空が青く澄み、日の光がまっすぐに降ってくる。
 いろいろな形をした雲が、空をゆっくりと動いていく。

 7月の京都は、ずいぶん暑くて、京都市役所駅前で降りた私は、急ぎ足でアーケード付きの商店街に入った。

 大通りの両サイドに小売店が肝を連ねるこの商店街の名前は、「寺町商店街」
 老舗や生活雑貨、お土産屋、古書や仏具、新旧が入り混じった不思議な和の商店街だ。

 この商店街には私、賀川一香の大切な場所がある。

 私は今日もそのお店を目指して、馴染みの商店街を歩いていた。

「一香ちゃん、おかえり~。今日は早かったんやなぁ」

「委員会活動、終わったところから帰っていいって言われて」

「そうかぁ。一香ちゃんの帰りが早いと花さんも喜ぶわ」

「おっ、一香ちゃん。ちょうど佃煮できたとこやねん。これ花さんに持って行ってくれるか?」

「ありがとうございます」