しばらく進んで、大通りに出る。
そこからさらに進んで交差点を曲がると、細い田舎道だ。
山と田んぼと、小さな民家ばかりに囲まれている────そんな場所に、私たちの通うことになる中学校がある。
レナ、ハルトの後に続き、自転車の向きを90度変えて、校門をくぐる。
だが、昨晩の雨で濡れた地面のせいでタイヤが滑って思わぬ方向に回転し、そのまま入口の段差に引っ掛かって─────
「う、うわあああっ!」
「志帆っ!?大丈夫!?」
ズザザザッ、という音と共に、私の自転車は大きく傾いて倒れる。
次の瞬間には、私は倒れた自転車の横で、濡れた地面に膝と手をついていた。
「うわあ、痛そう……大丈夫?」
私が転んだことに気づいたレナが、自転車から降りて駆け寄ってくる。
「うん、全然大丈夫……あっ」
ゆっくりと立ち上がり自分の右膝を見ると、そこには大きな擦り傷ができて、血が流れ出していた。
「ええと……こ、これは……どうしよう」
「志帆、絆創膏とか持ってない?」
「持ってないや……ティッシュしか……」
「ハルトは?」
「悪ぃ、俺も使えそうな物はないや」
「とりあえず、その血ティッシュで拭いてから、保健室行ってきたら?クラス分けは、私が先に見とくから!」
サラがそう言うと、ハルトは「じゃあ、俺、志帆の自転車止めてくるよ」と言って、倒れた私の自転車を起こす。
「わかった!じゃあ、また後で!」