理想の結婚お断りします~干物女と溺愛男のラブバトル~

一時間後、私は茫然自失の状態で白装束の人間たちに囲まれていた。
店長との面談で説明されたのはかもめ店が撤退の危機に瀕する弱小店舗であるという事実だったが、それより激震だったのは私の配属部門だ。

「精肉部……」

面談からいったい何十回目だろう。ショックのあまり口が勝手に復唱する。

〝きつい・汚い・危険〟いわゆる〝三K〟。
スーパーに左遷されただけでも充分なのに、その中でも最たる三K部門に配属された衝撃。個人的には〝格好悪い〟も加わって四Kだ。

店の外観に続き本日二度目、目の前の光景を茫然と眺める。
室内は殺風景で、きなまな板を敷いた作業台の前の壁には棚が設けられていて、いろんな大きさの発泡スチロールのトレーがうずたかく積まれている。

ここが私の職場……?