達成。達成──。その言葉を何度も頭の中で繰り返す。
いやいや、まさか。たしかに今すぐ倒れそうなぐらい頑張ったけれど、正直まさかという感覚しかなくて、にわかには信じられなかった。
「なんで……?」
どこか気が抜けたような佐藤主任も同じらしい。
「お隣だよ」
「隣? 隣がどうかした?」
「隣が仕入れミスをしてくれてね。祝箸の仕入れを忘れたせいで、客がこっちに流れたんだよ。それで全体の売上も上がった」
「祝箸!?」
それを聞いた途端、全員で爆笑になった。たかが祝箸でも、お正月になくてはならないもの。土壇場で大量調達するのは無理だったのだろう。
「なーんだ」
「どうりでラスト三日ぐらい、やけに客が多いと思った!」
「じゃあこんな恥ずかしい法被まで着たのに、私の頑張りって意味なかったの!?」
「あったよ、あったよ」
「精肉部のギフト売上、すごくいいよ」
店長はやつれた顔にはちきれそうな笑みを浮かべた。
「ということで来年も営業します! 次、言ってくる!」
そう言い残し、店長はまた次の部門に走っていった。
「店長、バカだねぇ。インカムで言えば一発なのに」
嬉しいくせに、素直になれない矢部さんがそんなことを言っている。
店長が真っ先に精肉部に来たということは、精肉部がかなり貢献したのだと思う。万歳でもしたいところだけど、たった三人で回す売り場は矢部さんが言う通りスカスカだ。店内はまだまだ大晦日の最後の買い物をするお客様でごった返している。
冷蔵庫から鶏肉の残りをありったけ運び出し、作業台に乗せた。お正月は二日までお休みなので、材料肉は今日のうちにすべて売り切って終わる。
「矢部さん、これの半分が鶏小間で、あと半分が一枚で出していいですか?」
「あーダメ! 四キロだけ一枚、あと全部小間」
絶対人の意見に難癖をつける人だから予想はしていたけれど、やっぱりそう。私たちはこんな小競り合いを来年も続けていくのだろう。
私が笑うと、どっこらしょと杖をついて立ち上がった矢部さんも銀歯を見せて笑った。
いやいや、まさか。たしかに今すぐ倒れそうなぐらい頑張ったけれど、正直まさかという感覚しかなくて、にわかには信じられなかった。
「なんで……?」
どこか気が抜けたような佐藤主任も同じらしい。
「お隣だよ」
「隣? 隣がどうかした?」
「隣が仕入れミスをしてくれてね。祝箸の仕入れを忘れたせいで、客がこっちに流れたんだよ。それで全体の売上も上がった」
「祝箸!?」
それを聞いた途端、全員で爆笑になった。たかが祝箸でも、お正月になくてはならないもの。土壇場で大量調達するのは無理だったのだろう。
「なーんだ」
「どうりでラスト三日ぐらい、やけに客が多いと思った!」
「じゃあこんな恥ずかしい法被まで着たのに、私の頑張りって意味なかったの!?」
「あったよ、あったよ」
「精肉部のギフト売上、すごくいいよ」
店長はやつれた顔にはちきれそうな笑みを浮かべた。
「ということで来年も営業します! 次、言ってくる!」
そう言い残し、店長はまた次の部門に走っていった。
「店長、バカだねぇ。インカムで言えば一発なのに」
嬉しいくせに、素直になれない矢部さんがそんなことを言っている。
店長が真っ先に精肉部に来たということは、精肉部がかなり貢献したのだと思う。万歳でもしたいところだけど、たった三人で回す売り場は矢部さんが言う通りスカスカだ。店内はまだまだ大晦日の最後の買い物をするお客様でごった返している。
冷蔵庫から鶏肉の残りをありったけ運び出し、作業台に乗せた。お正月は二日までお休みなので、材料肉は今日のうちにすべて売り切って終わる。
「矢部さん、これの半分が鶏小間で、あと半分が一枚で出していいですか?」
「あーダメ! 四キロだけ一枚、あと全部小間」
絶対人の意見に難癖をつける人だから予想はしていたけれど、やっぱりそう。私たちはこんな小競り合いを来年も続けていくのだろう。
私が笑うと、どっこらしょと杖をついて立ち上がった矢部さんも銀歯を見せて笑った。
